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市川院長の『病気の話』Blog

話題の病気

第12話 「夏かぜ」とは―その予防と対策―

 梅雨明けから夏にかけて流行するウイルス感染症を一般的には「夏かぜ」といいます。夏かぜのウイルスはインフルエンザなど冬に流行るかぜのウイルスと違い高温多湿を好み経口的に体内に侵入し腸管で増殖することが多いので嘔吐や下痢など胃腸症状を伴うことも珍しくなく長引くことが多いのが特徴です。また子供に多く、室内外の温度差が著しく体力や免疫力が低下した状態で起こります。以下の3つの病型が夏かぜの代表的な疾患です。夏かぜについては第6話「かぜとインフルエンザを防ぐ生活」にも記載していますのでご参照ください。

ヘルパンギーナ

 38~40℃以上の高熱が出て、のどが痛みます。口の奥に直径1~2ミリの赤味を帯びた水疱(水ぶくれ)が数個から数十個できて、やがて破れてびらん(ただれ)状となり痛みます。熱は数日で自然に下がり、1週間ほどで治癒します。コクサッキーウイルスA群の感染によるとされます。梅雨から梅雨明けの頃に発症がピークです。

手足口病

 手のひらや足の裏に小さな赤味のある水疱ができます。ひどくなると口の中や手足に水疱が広がります(写真)。1日から3日ぐらい発熱がみられ、口の中に病変ができた場合はのどを痛がり水や食べ物を飲み込めなくなったりします。1週間前後で自然に治ります。コクサッキーウイルスA群、B群やエンテロウイルスの感染で起こります。

手足口病

手足口病 右は拡大画像

プール熱

 のどが赤く腫れ痛がります。同時に結膜炎(目の痛みや充血、目やに)を伴うことも多く咽頭結膜熱とも呼ばれます。高熱が4~5日間続きますが1週間ほどで完治します。アデノウイルスに汚染されたプールの水から感染することが多いので「プール熱」とも呼ばれます。アデノウイルス感染で起こります。

夏かぜの予防と治療

 普段から規則正しい生活、適正なバランスの取れた食生活、外出から帰宅後や食事前の手洗いとうがいの徹底などの生活習慣に気を配っておく必要があります。手指を介しての接触感染や経口的に感染することが多いので流行している保育園や幼稚園、学校などではとくに感染予防が大切です。流行時にはマスクを着用し、食事の前やトイレの後の手洗いは大 切です。外出から帰宅した時も手洗いとうがいを励行しましょう。
 この3つの夏かぜの代表的疾患のウイルスに直接有効な薬はありませんので発熱、咽頭痛などそれぞれの症状に応じた対症的治療が基本です。夏かぜと診断されたら自宅で安静を保ち、栄養価の高い食事を食べ全身状態や免疫力を上げることが大切です。発熱、咽頭痛などの症状が軽快しても便からのウイルスの排泄は1週間程度続くことも報告されていますので1週間程度は登園、登校を控えた方が無難です。家族内感染にも十分注意しましょう。